- 「デジタル健忘症」は、医学的な診断名ではなく、調査から生まれた言葉
- スマホに頼ると記憶力が落ちる仕組みを示した、記憶研究の実験
- 「自力で思い出そうとする」こと自体に、記憶を強化する効果があるという研究
家族や親しい友人の電話番号を、今すぐそらで言えるでしょうか。
よく行く場所への道順を、スマホの地図アプリを一切見ずに説明できるでしょうか。
「以前はしっかり覚えていたはずのことが、いつの間にか覚えられなくなっている」——。
そんなふうに感じたことがある方は、決して少なくないはずです。
こうした状態は、昨今しばしば「デジタル健忘症」という言葉で表現されます。
この記事では、この言葉がどのような背景から生まれたのか、なぜスマホやAIに頼ることが私たちの記憶力に影響するのか、そして「自力で思い出す力」を保つために今日からできる工夫を、心理学の記憶研究にもとづいて解説します。
「デジタル健忘症」とは何か│医学的な病名ではありません
まず大前提として押さえておきたいのは、「デジタル健忘症」は医学的に確立された病名や、認知症のような脳の疾患を指す言葉ではないということです。
この言葉が広く知られるようになったきっかけは、2015年にセキュリティ企業のカスペルスキーがアメリカで行った消費者調査です。
この調査の中で、回答者の実に91%が「記憶や情報の思い出しを、インターネットやデバイスに依存している」と回答し、44%が「自分が知っておくべきことのほとんどがスマホに入っている」と答えたことが報告されました。
つまりデジタル健忘症とは、「スマホなどの外部デバイスに情報を預けすぎるあまり、自分自身の脳で覚えておくという行為そのものが減っている」という、現代人特有の”行動のクセ”を表す言葉なのです。
▽ 分かりやすく要約 ▽
2015年にKaspersky Labが発表した調査報告から広まった造語。デバイスへの過度な情報依存という現代的な行動傾向を指すものであり、医学的な診断名(脳の疾患)ではありません。
出典:Kaspersky Lab (2015). “Americans Face Digital Amnesia as Connected Devices Are Increasingly Trusted to Recall Memories”
なぜ起こるのか│脳が「優秀な司書」になってしまう仕組み
では、スマホに頼ると、なぜ物事を覚えにくくなってしまうのでしょうか。
この現象を科学的に証明したのが、2011年に学術誌『Science』に発表された有名な心理学実験です。
研究チームは、参加者にちょっとした豆知識(トリビア)の文章を読ませる際、以下の2つのグループに分けました。
- Aグループ:「この文章は、後でパソコンから消去されます」と伝えた。
- Bグループ:「この文章は、パソコンに保存され、後でいつでも見返せます」と伝えた。
その後のテストの結果、「いつでも見返せる」と伝えられていたBグループは、文章の内容そのものを覚えている割合が明らかに低くなっていました。
さらに面白いことに、別の実験では、参加者は「情報の中身」よりも、「その情報をパソコンのどのフォルダに保存したか(情報の在り処)」の方をよく覚えていることが分かりました。
例えるなら、脳が「本の内容をすべて暗記する読者」になるのをやめ、「どの本棚に行けばその本があるかだけを把握している、図書館の司書」になってしまった状態です。
人間の脳は、「この情報は後でスマホを検索すればすぐ分かる」と判断すると、その情報自体を覚える労力を無意識に節約してしまうのです。
▽ 分かりやすく要約 ▽
Sparrow, B. et al. (2011). “Google Effects on Memory: Cognitive Consequences of Having Information at Our Fingertips,” Science. 情報をいつでも検索可能だと認識すると、情報の中身ではなく「その情報がどこにあるか(アクセス先)」の記憶が優先される現象。
「自力で思い出す力」を鍛える、テスト効果とは
スマホを手放せない現代社会において、この「覚えなくなる傾向」に抗うことはできるのでしょうか。ここで鍵になるのが、記憶研究の分野でよく知られる「想起練習(テスト効果)」という現象です。
2006年に行われた研究で、学生たちに文章を覚えさせる際、以下の2つの方法で比較を行いました。
- 入力重視:同じ文章を、何度も繰り返し「読む(復習する)」
- 出力重視:文章を一度読んだ後、見ずに自分の頭の中だけで「思い出す(小テストする)」
直後のテストでは「繰り返し読んだグループ」の方が成績が良かったのですが、2日後、1週間後と時間が経つにつれて結果は逆転。
「自力で思い出そうとするテスト」を繰り返したグループの方が、はるかに内容を長く、深く定着させていたのです。
記憶とは、森の中に道を作るようなものです。地図を何度も眺める(入力する)よりも、実際に自分の足で歩いてみる(出力する)方が、脳の神経回路という「獣道」は太く、強固になります。
スマホですぐに答えを検索する行為は、この「自分の足で歩く(思い出す)」という一番大切なプロセスを省略してしまっていると言えます。
▽ 分かりやすく要約 ▽
Roediger, H.L., & Karpicke, J.D. (2006). “Test-Enhanced Learning: Taking Memory Tests Improves Long-Term Retention,” Psychological Science. テキストの再読(インプット)を繰り返すよりも、検索・想起(アウトプット)のテストを行う方が長期的な記憶保持に高い効果をもたらす。
日常生活の中で「思い出す力」を保つための工夫
これらの研究を踏まえると、スマホやAIを完全に手放すような極端な対策は必要ありません。日常の中で、以下のような小さな工夫を意識するだけで十分です。
- 検索する前に「5秒だけ」粘る:
分からないことがあった時、すぐにスマホを取り出すのではなく、「たしか、こうだったはず……」と自分の記憶をたどってみます。
答えが合っているかどうかは重要ではなく、「思い出そうと脳に負荷をかける一手間」そのものに意味があります。 - 道順や番号を「自力で再現」する:
よく行く場所へのルートや、よく使う暗証番号などは、最初の数回はあえてアプリやメモを見ずに自分の頭で再現してみます。
こうした日々の自助努力の積み重ねに加えて、記憶力そのものをサポートする習慣を取り入れている方もいます。
Memory Coffeeは、機能性関与成分GABAを配合し、「記憶力」「空間認知力」「持続的注意力」の機能性表示を消費者庁に届け出ている(届出番号:J1384)インスタントコーヒーです。
Memory Coffeeで使用しているGABAは、加齢とともに低下する認知機能の一部を維持する機能が報告されています。
いつもの一杯を、ご自身の記憶力と向き合うきっかけの一つにしてみてはいかがでしょうか。
【コーヒー×GABA】ながらケアできる「Memory Coffee」
で見る ▶
まとめ
「デジタル健忘症」は病名ではなく、スマホなどの便利さに頼ることで、私たちの脳が「中身を覚える」ことから「情報の在り処だけを覚える」ようにシフトしている現象を指します。
「後で調べられる」と分かっている情報は、脳が覚えるのをサボってしまいます。
しかし裏を返せば、検索する前に「まず自分で思い出そうとする」という小さな習慣を挟むだけで、脳の記憶の回路(獣道)は再び鍛え直すことができます。

なお、スマホやAIが記憶力だけでなく、集中力・注意力に与える影響について扱った記事もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
- 「デジタル健忘症」は、認知症の初期症状なのですか?
-
いいえ、本記事で紹介したとおり、「デジタル健忘症」はそもそも医学的な診断名ではなく、調査から生まれた行動傾向を表す言葉です。認知症とは異なるものとして扱われています。もの忘れについて心配な点がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。
- スマホやAIを使うこと自体が、記憶力に悪いということですか?
-
本記事で紹介した研究が示しているのは、「使うこと自体が脳を破壊する」ということではなく、「後で調べられる」という安心感があると、脳がその情報を覚える労力を無意識に節約してしまう傾向があるということです。使い方次第で、自分の頭で思い出す機会を意識的に作ることも可能です。
- 想起練習(自分で思い出すこと)は、記憶力に自信がない人でも効果がありますか?
-
本記事で紹介した研究は大学生を対象とした学習実験であり、あらゆる年齢層・記憶力の方に同程度の効果を保証するものではありません。ただし、「まず思い出そうとしてから答えを確認する」という手順自体は、特別な道具も必要なく、誰でも日常的に試せる有効なアプローチです。
- 情報の正確性について:
本記事の内容は、執筆時点で確認できた学術研究・報道および一般に公開されている情報に基づき作成しています。正確性の確保に努めていますが、新たな研究知見や検証により、内容が更新される可能性があります。 - 効果の適用範囲について:
本記事で紹介した研究結果は、実験条件下で確認されたものであり、日常生活のあらゆる記憶の場面に同程度で当てはまることを保証するものではありません。 - 医療行為の代替ではありません:
本記事は一般的な健康・脳科学情報の提供を目的としたものであり、医師による診断、治療、または処方に代わるものではありません。また、紹介している成分や製品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。 - 効果の個人差について:
GABA等の機能性関与成分に関する記述は、一般的な届出情報・研究知見に基づくものであり、特定の製品の摂取によって全ての方に同様の効果を保証するものではありません。体質や体調により、まれに合わない場合があります。 - 損害への責任:
本記事の情報を利用したことによって生じたいかなる損害についても、当サイトおよび運営者は一切の責任を負いかねます。最終的な判断はご自身の責任において行っていただけますよう、お願い申し上げます。
【機能性表示食品に関する表示】
- 本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
- 本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
- 食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
運営会社・製品開発元情報
| 会社名 | 株式会社HOPEF |
|---|---|
| 所在地 | 〒957-0105 新潟県北蒲原郡聖籠町大字次第浜1948 |
| 代表者 | 佐藤 俊彦 |
| お問い合わせ | https://memory-coffee.jp/contact/ |
| 事業内容 |
|


