二度寝が最高に気持ちいいのはなぜ?│脳科学的理由

「あと5分だけ」の二度寝は、罪悪感とは裏腹に、実は睡眠の質をほとんど悪化させないことが2024年の研究で示されています。二度寝が気持ちよく感じられる理由を、睡眠科学の視点から解説した記事のサムネイル。
💡この記事のポイント
  • 二度寝は本当に睡眠の質を悪化させるのか、2024年の研究が示したこと
  • 「深い眠りから起きると辛い」という説は、実はそこまで単純ではない
  • 明け方の眠りに起きている、ある変化
  • 二度寝と上手に付き合うためのヒント

目覚まし時計が鳴って一度は目を覚ましたのに、「あと5分だけ……」ともう一度眠りに落ちる。

あの二度寝の心地よさに、つい身を委ねてしまうことはないでしょうか。

その一方で、「二度寝は睡眠のリズムを崩す」「体に悪いから一発で起きるべきだ」といった罪悪感を抱えている方も多いかもしれません。

この記事では、二度寝がなぜあれほど気持ちよく感じられるのか、そして「二度寝は本当に体に悪いのか」という疑問について、最新の睡眠科学の研究から見えてきた意外な事実を解説します。


目次

二度寝をしても、睡眠の質はほとんど悪化しない

「二度寝=悪」という世間のイメージとは裏腹に、近年の研究では、二度寝そのものが睡眠に大きな悪影響を及ぼすわけではないことが示されています。

2024年にスウェーデンのストックホルム大学の研究チームが、非常にユニークな実験を行いました。

日常的にスヌーズ機能を使って二度寝をする人たちを対象に、「目覚まし1回でスパッと起きた日」と「アラームを複数回鳴らして合計30分ほどの二度寝をした日」で、体や脳にどんな違いが出るかを比較したのです。

結果は、多くの人の予想を裏切るものでした。

二度寝をしたグループは、その後の認知テストの成績が悪化しなかったどころか、目覚めた直後の「頭の回転(反応の速さ)」は、むしろ二度寝をした時のほうが上回っていたのです。

この差は起床から40分ほどで消えました

ただし、この差はずっと続くものではありません。

起床から40分ほど経って改めて測定すると、二度寝をした朝としなかった朝とで、反応の速さに違いは見られなくなりました。

つまり、二度寝には「起きてすぐの一時的な頭のすっきり感を後押しする」効果はあるものの、それが日中ずっと続くような、持続的な集中力アップの効果までは確認されていない、ということです。

また、体をシャキッと目覚めさせる「コルチゾール」というホルモンも、二度寝をしたことで適切に上昇していることが確認されました。

全体の睡眠時間こそ6分ほど短くなったものの、夜間の睡眠の質そのものに悪影響は見られなかったのです。

「あと少しだけ」とベッドで微睡む時間は、意外に脳にとって目覚めへ向けた優しいウォーミングアップとして機能しているのかもしれません。

▽ 分かりやすく要約 ▽

「二度寝=悪」は本当か?
※アニメーションはイメージです
🔬 SCIENCE FACT:二度寝がもたらす影響(2024年研究)
Sundelin, T. et al. (2024) “Is snoozing losing? Why intermittent morning alarms are used and how they affect sleep, cognition, cortisol, and mood,” Journal of Sleep Research.

「深い眠りから起きると辛い」という説の真実

二度寝が気持ちよく感じられる理由として、「深い眠りの時に無理やり起きるとつらいから、二度寝をして”浅い眠り”に移行してから起きるのが楽なんだ」という説明を聞いたことがある方もいるでしょう。

直感的には非常にしっくりくる説明ですが、科学の世界ではもう少し複雑な議論が交わされています。

朝起きた直後、頭がぼんやりしてパソコンの起動中のように体が動かない状態を、専門用語で「睡眠慣性(sleep inertia)」と呼びます。かつては、「深い眠り(徐波睡眠)から目覚めるほど、この睡眠慣性が重くなる(=起きるのが辛くなる)」と考えられていました。

しかし、2019年の最新のレビュー論文(過去の様々な研究をまとめたもの)では、この定説に待ったがかかりました。

「睡眠の深さ」と「起き抜けの辛さ」の関連性が、はっきりとは確認できないケースが多数報告されたのです。

では、何が「起き抜けの辛さ」を決めているのでしょうか。

現在有力視されているのは、目覚める直前の眠りの深さよりも、「前日までの睡眠不足の蓄積」や「直前までどれだけ長く起きていたか」という、根本的な疲労の負債です。

つまり、「二度寝をしたから(浅い眠りになったから)楽に起きられる」というわけではなく、「そもそも慢性的な睡眠不足がないか」という土台のほうが、目覚めの快適さを決定づけている可能性が高いのです。

▽ 分かりやすく要約 ▽

「起き抜けの辛さ」の本当の原因
※アニメーションはイメージです
🔬 SCIENCE FACT:睡眠慣性(起き抜けの辛さ)に関する最新知見
Hilditch, C.J., & McHill, A.W. (2019) “Sleep inertia: current insights,” Nature and Science of Sleep.

明け方の眠りに起きている「夢見シアター」の変化

「目覚める直前の眠りの深さは関係ないかもしれない」とはいえ、私たちが二度寝をする明け方の時間帯に、脳内で特別な変化が起きているのは事実です。

人間の睡眠は、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)を繰り返しています。

睡眠の波形:ノンレム睡眠とレム睡眠の繰り返し
一晩の間に繰り返す「深い眠り」と「浅い眠り」のサイクル
覚醒 レム 浅い 深い
💤
深い眠り

体も脳も休ませる時間。
睡眠の前半で特に深くなります。

⏰
浅い眠り

眠りの入り口。
体は休んでいますが脳は浅い状態です。

💭
レム睡眠

脳が起きて記憶を整理する時間。
夢を見ることが多い睡眠です。

一晩を通した平均で見ると、レム睡眠は全体の4分の1程度ですが、この割合は均等ではありません。

夜が更けて明け方に近づくにつれて、レム睡眠(浅い眠り)の時間はどんどん長くなっていくという特徴があります。

入眠直後は数分しかなかったレム睡眠が、明け方には1時間近くに達することもあります。

このレム睡眠は、いわば脳の「夢見シアター」が活発に上映されている時間です。

私たちが目覚まし時計をセットする時間の多くは、まさにこの「レム睡眠が一番リッチに訪れる時間帯」と重なります。

二度寝のわずかな時間で「なぜかすごく印象的でリアルな夢を見た」と感じやすいのも、この時間帯特有の眠りの性質が関係していると考えられます。

二度寝とは、一晩の眠りの締めくくりに訪れる一番心地よい夢の時間に、もう一度だけ身を委ねる贅沢なひとときだと言えるかもしれません。


二度寝と上手に付き合うためのヒント

ここまで見てきたように、二度寝そのものを過剰に目の敵にする必要はありません。

しかし、際限なく繰り返せば良いというわけでもありません。

2024年の研究で「悪影響がない」と確認されたのは、あくまで「合計30分程度」の二度寝です。

何度もスヌーズを叩き続けて仕事や学校に遅刻しそうになったり、「平日の睡眠不足を、休日の激しい二度寝で一気に取り返そう」としたりするのは、根本的な解決にはなりません。

「あと5分だけの二度寝は、決して悪いことじゃない」と罪悪感を手放しつつも、二度寝の心地よさに頼りすぎないよう、日頃から十分な睡眠時間を確保することが何より大切です。

▽ 分かりやすく要約 ▽

二度寝と上手に付き合うためのヒント
※アニメーションはイメージです
💡 LIFESTYLE FACT:二度寝の活用と日々の睡眠確保
2024年の研究で許容された「30分の二度寝」を上手く活用しつつも、根本的な睡眠負債を溜めない生活習慣(土台づくり)が不可欠です。

まとめ

「二度寝は体に悪い」というかつてのイメージは、最新の睡眠科学によって少しずつアップデートされています。

2024年の研究が示す通り、30分程度の二度寝であれば、睡眠の質や日中のパフォーマンスを大きく下げることはありません。

また、「深い眠りから起きると辛いから」という通説以上に、実は「日々の睡眠不足」のほうが目覚めの悪さに直結していることも分かってきました。

明け方に増えるレム睡眠の心地よい波に乗りつつも、それに頼りすぎない規則正しい睡眠を心がける。

それが、最高に気持ちいい朝を迎えるための秘訣と言えそうです。


二度寝は毎日していても問題ないのですか?

本記事で紹介した研究が検証したのは、合計30分程度の二度寝です。それを大幅に超えて二度寝を繰り返したり、慢性的な睡眠不足を二度寝で補おうとしたりすることについては、この研究の範囲外であり、効果や安全性が確認されているわけではありません。

二度寝で夢をよく見るのはなぜですか?

一晩の睡眠の中で、夢を見やすい「レム睡眠」は明け方にかけて長くなっていく傾向があります。多くの人が二度寝をする時間帯は、このレム睡眠が増えてくるタイミングと重なりやすいため、印象に残る夢を見やすいと考えられます。

二度寝をすればするほど、すっきり目覚められますか?

いいえ、そうとは限りません。本記事で紹介した研究で確認されたのは、合計30分程度の二度寝についての結果です。それ以上長く二度寝を続けた場合の影響や、根本的な睡眠負債の解消については別問題となりますので、日々の十分な睡眠時間の確保を優先してください。



免責事項および重要事項
  1. 情報の正確性について:
    本記事の内容は、執筆時点で確認できた学術論文・研究機関の発表資料等に基づき作成しています。正確性の確保に努めていますが、新たな研究知見や検証により、内容が更新される可能性があります。
  2. 研究結果の適用範囲について:
    本記事で紹介した研究は、特定の条件下(合計30分程度の二度寝等)で実施されたものであり、あらゆる二度寝の仕方・個人に同じ結果が当てはまることを保証するものではありません。
  3. 医療行為・助言の代替ではありません:
    本記事は一般的な脳科学情報の提供を目的としたものであり、医師による診断、治療、または助言に代わるものではありません。
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Memory Coffee 編集部
著者
メモコーマガジン編集部

「コーヒーのひとときに、知的な潤いを」テーマに、国内外の最新論文や公的機関による科学的データに基づいた脳の健康情報を発信!
機能性表示食品の届出に用いられたエビデンスを軸に、客観的で正確な情報提供に努めています。

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所在地 〒957-0105 新潟県北蒲原郡聖籠町大字次第浜1948
代表者 佐藤 俊彦
お問い合わせ https://memory-coffee.jp/contact/
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  • コーヒー及び紅茶の輸入、製造、加工及び販売
  • 加工食品、健康食品、機能性表示食品等の企画、製造及び販売
  • バイオマス発電所での使用を目的とする燃料に関する製造、調査及び研究
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