- 保育士の「大変なこと」の正体は、多くの時間は平穏でも、常に警戒を怠れない「ビジランス(監視の持続)」という、脳にとって特有の負荷であること
- 「言うことを聞かない」「いきなり泣く」といった予測不能な出来事への対応は、多くの保育士が共通して直面する壁であること
- 脳内のGABA濃度が、こうした負荷の高い状況でこそ、持続的注意力を支える役割を果たしていること
編集部
保育現場では「体力よりも、頭や神経を使ってぐったり疲れる」という声をよくお聞きします。具体的にどんな瞬間に一番「脳のエネルギーを使っているな」と感じますか?
保育士
常に全体に目を配り、事故が起きないか気を張っている時ですね。さっきまで静かだったのに急な大泣きや喧嘩が起きると、「とにかくその場をおさめなくちゃ」と必死になります。
目の前の対応だけでなく、親御さんの表情も頭に浮かびますし、常に“見えない対応”をしている気がして本当に気を使います。
編集部
まさに「いつ何が起きるかわからない状況」ですね。特に予測できずヒヤッとしたエピソードや、そういう日の終わりの状態はどうですか?
保育士
今年で経験18年目なので最近は大きな事はないですが、3年目の時、川沿いの散歩で男の子がパッといなくなり、一歩間違えれば川に落ちる手前の草むらで見つけた時はずっとドキドキしていました。
そういうトラブルがあるとまずは反省しますし、解決して「ホッと緊張の糸が切れた瞬間」にドッと疲れがきて、限界の時は『もう何も考えたくない』となります。子どもとの関わりは年々上手になっても、保護者対応やこういうイレギュラーな気の張りは、いつになっても慣れないですね。
編集部
その「緊張の糸が切れた瞬間のドッとした疲れ」は、決してご自身のメンタルや要領のせいではないんですよ。
実は認知科学では、その『常に警戒を怠れない状態』こそが、脳に猛烈な負担をかける『ビジランス(監視の持続)』という特有の構造的負荷だと解明されているんです。
…ちなみに『ビジランス』ってご存じですか?
※保育士・編集部の表情はイメージです
静かに遊んでいたと思ったら、急に泣き出す。
目を離した隙に、危ないことをしようとしている。
こうした予測不能な出来事への対応は、多くの保育士に共通する”あるある”です。
今回は、保育士が抱えるこの「大変さ」の正体と、そのとき脳の中で何が起きているのかを、脳科学の視点から紐解いていきましょう。
保育士の「大変さ」は、脳の中で何が起きているのか
子どもたちの成長を見守る喜びがある一方で、多くの保育士が抱える「理由のわからない疲弊感」。
実はこの大変さは、あなたのメンタルや体力の問題ではなく、脳に特有の負荷がかかり続けていることが大きな原因です。
脳の中で一体どのような現象が起きているのか、詳しく見ていきましょう。
「ビジランス」という特有の負荷
保育士の仕事の特徴は、「多くの時間は特に何も起きないが、常に警戒を怠ってはいけない」という状態が続くことです。
認知科学では、こうした状態を「ビジランス(vigilance)」と呼びます。
航空管制官や、手荷物検査の担当者など、”見逃してはいけない”仕事に共通する負荷として、長年研究されてきました。
ビジランスを要する仕事では、時間の経過とともに、注意力の質が徐々に落ちていく「ビジランス・デクリメント」という現象が起きることが知られています。
「ビジランス・デクリメント」
脳のエネルギーが十分にあり、広い視野で教室全体をしっかり監視・予測できている状態。
「気を張る」こと自体が脳を激しく消耗させる。徐々に処理能力が落ち、視野が狭まり始める。
警戒が追いつかず極端に視野が狭まる。この瞬間に予測不能な事態が起きると、ミスやヒヤリハットに繋がる。
これは怠慢や努力不足ではなく、脳の構造的な現象です。
「いつ事故が起きるか分からない」と、脳の警戒メーターをMAXにして見張ります。
「気を張る」こと自体が脳に猛烈な負荷をかけ、エネルギーを激しく消費します。
時間の経過とともに脳が自衛モードに入り、注意の「抜け・漏れ」が発生しやすくなります。
警戒を司る、脳の「青斑核」
脳の中で、この警戒・覚醒の状態を作り出しているのが、「青斑核(せいはんかく)」という部位です。
青斑核は、ノルアドレナリンという物質を分泌し、脳全体を「今すぐ反応できる状態」に保つ役割を担っています。

保育士のように、いつ何が起きるか分からない環境に長時間身を置くと、この青斑核が、常に緊張状態を維持しようと働き続けます。
「気を張っていないと、何か見逃してしまいそうで怖い」という感覚は、この脳の仕組みそのものが反映されたものだと考えられます。
負荷が高い状況でこそ、GABAが働く
青斑核が警戒モードを維持しようと働き続ける中で、その「高負荷な状態」を支えているのが、脳内の神経伝達物質であるGABA(ギャバ)です。
以前、施工管理の働き方に関する記事でもご紹介した、日本の研究チームによる2023年の研究(Kondo et al., 2023)があります。
脳の左前頭前野にあるGABAの濃度を測定したところ、GABA濃度は”負荷の高い状況”下でのパフォーマンスと明確に関連していたことが分かりました。
一方で、負荷が低く単純な作業では、別の物質(グルタミン酸系)の方が関連していたことも示されています。
【研究結果】前頭前野の神経伝達物質と注意力の関係
比較的単純なタスク
(Glx)
警戒が続くマルチタスク
常に全体へ目を配り、突発的なトラブルへの対応も求められる「高負荷状態」の現場ほど、脳内のGABAと持続的注意力の関係が深く関わっている可能性が示されています。
「いつトラブルが起きるか分からない」「常に気を張っていなければならない」という、保育士の仕事のような高負荷が続く環境でこそ、脳内のGABAが持続的注意力を支える重要な役割を果たしていると考えられます。
脳の「警戒コスト」を減らす、現場での工夫策
保育士の現場は、とにかくマルチタスクです。
子どもから目を離さず安全を守りながら、突発的なトラブルを処理し、頭の中では次の準備や書類作成を同時に進める――。
この絶え間ないタスクの切り替えこそが、脳のワーキングメモリを圧迫し、警戒アラート(青斑核)を激しく疲弊させる原因です。
安全管理を徹底しながら、この脳の警戒コストを抑えるにはどのような方法があるのでしょうか。
個人ですぐに取り入れられる2つの工夫を紐解きます。
活動の合間に「息を深く吐く小休止(マイクロブレイク)」を作る
主導する活動(お絵かき、食事、お散歩など)が切り替わる一瞬は、子どもの集中が切れ、突発的なトラブルやケガが最も起きやすいタイミングといわれています。
この切り替えのタイミングで、意識的に深呼吸することをおすすめします。
目を閉じて肩の力を抜きながら、5秒ほどかけて細く長く息を吐き出す深呼吸を2回(計10秒)を目安に行いましょう。
自律神経の研究では、息をゆっくり吐き出す動作が副交感神経の働きを高め、青斑核の過剰な警戒状態(交感神経の緊張)をリセットする効果が知られています。
こうした数秒〜十数秒の「小さな区切り(マイクロブレイク)」を挟むことが、後半の持続的な注意力を維持するための現実的な工夫になります。
活動の切り替え時に「5秒の呼気×2回(計10秒)」を行うことは、迷走神経を刺激してリセットスイッチを入れるのに必要十分な時間であり、多忙な保育現場でも安全かつ即効性の高い理にかなったアプローチです。
• Gerritsen, R. J., & Band, G. P. (2018). “Breath of Life: The Respiratory Vagal Stimulation Model of Contemplative Activity.” Frontiers in Human Neuroscience, 12, 397.
• Albulescu, P., et al. (2022). “Give me a break! A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks.” PLOS ONE, 17(8).
トラブルの「予兆パターン」を把握しておく
「よく泣く場面」「トラブルが起きやすい時間帯」などについて、あらかじめ対応を決めておくことで、突発的な負荷を減らせます。
子どもたちの視点も交えながらトラブルが起きやすいパターン(予兆)を具体的にみていきましょう。
- 血糖値の低下や眠気は、感情や行動をコントロールする脳の「前頭前野」の機能をダウンさせます。
- 普段なら我慢できることもできなくなり、衝動的に「噛みつく」「奪う」行動が出やすくなります。
- 他者との物理的距離が近すぎる「過密状態」は、脳の警戒アラート(扁桃体など)を高め、本能的なイライラや不安を誘発します。
- 保育士の視線が届かない「死角」では、占有欲や不安から手が出やすくなります。
- 集中していた遊びを中断し、異なる活動へ移る「頭の切り替え」は、未発達な子どもの脳にとって非常に高い負荷です。
- パニックや興奮状態になりやすく、興奮したまま移動することで「急な飛び出し」や衝突につながります。
子どもの脳の特徴による「予兆(パターン)」を知ることで、チームで未然に防ぐアプローチが可能になります。
すべての出来事を予測することはできませんが、経験やヒヤリハットの共有などを通じて、「この時間帯はヒヤリが起きやすい」というパターンをあらかじめ脳にインプット(想定)しておくだけで、突発的な出来事に直面した際の脳のパニック(ワーキングメモリの急激な圧迫)を防ぎ、冷静に対応できます。
それでも負担が大きいと感じるなら
工夫を重ねても、慢性的な疲労感やストレスが続く場合は、一人で抱え込まず、園長や同僚、専門機関に相談することも大切な選択肢です。
子どもたちの安全を守るという、責任の重い仕事をしているあなた自身を、まず大切にしてください。

日々のコンディションケアという選択肢
こうした脳の仕組みを踏まえたうえで、日々のコンディションを内側からサポートする方法の一つとして、「GABA(ギャバ)」を取り入れるという選択肢があります。
GABAとは?
野菜や果物に含まれるアミノ酸の一種。
体内では神経伝達物質として、
健康維持に欠かせない役割を担っています。
※アニメーションはイメージです。
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GABAは、加齢とともに低下する認知機能の一部である「持続的注意力(注意を持続させながら、作業を続ける力)」の維持をサポートする機能が消費者庁に届け出られています
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多くの注意力を要する保育の現場だからこそ、自分自身のコンディションを内側から科学的にサポートする仕組みを持つのはいかがでしょうか?
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まとめ│親と子ども。その「信頼の架け橋」を作れる素晴らしい職業
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予測不能な出来事への対応は、保育士共通の悩み
「言うことを聞かない」「いきなり泣く」といった予測不能な出来事への対応は、多くの保育士が直面する壁である。
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警戒・覚醒を司る「青斑核」の緊張が疲弊の一因
脳の青斑核が常に緊張状態を維持しようと働き続けることが、特有の疲弊を引き起こしている。
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高負荷な状況でこそ、GABAが持続的注意力を支える
負荷の高い状況下でこそ、脳内のGABA濃度が持続的注意力を支える役割を果たしている。
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深呼吸など意識的な「区切り」が現実的な対策になる
深呼吸で意識的な区切りを作る、予測できることに備えることが、脳の負荷を減らす鍵となる。
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一人で全てを背負い込まず、自分自身を大切にする
責任の重い仕事をしているからこそ、一人で抱え込まず、子どもたちを守るあなた自身のことも大切にする。
本記事を執筆するにあたり、実際に現場で18年間働く保育士の方にインタビューを行いました。
その方は現在0歳児を担当しています。
お話を聞いているだけでも次から次へと様々な声が…
私は脳科学的な視点でヒアリングを行いましたが、「予想以上にマルチタスク」だなと感じました。
まだ自立しきれない子どもへの向き合い方、保護者とのコミュニケーション、園内での人間関係など様々ところに気を配りながらでホントに大変なお仕事です。
しかし、大変な反面、大きな喜び・やりがいも聞くことが出来ました。
それが「子どもとの出来た信頼関係を通して親御さんから感謝されたとき」だそうです。
子どもとの信頼関係とはなにか?
最初はうまくコミュニケーションが取れなくても、日々一緒に過ごす時間を重ねるうちに「先生!一緒に遊ぼう!」「先生がやるなら、やってみる」などど心を通い合わせること。
それを親御さんに共有することで、家では甘えてできなかったことでも出来るようになって「先生ありがとうございます!」と感謝される瞬間に『保育士になって良かった!』と思える。
まさしく「かけがえの親子の絆の架け橋を作れる職業だな」と感じました。
三つ子の魂百までという言葉があります。
「三つ子の魂百まで」とは、幼いころ(3歳ごろ)に身についた性格や気質は、100歳になっても変わらないという意味の日本のことわざです。
人間の基礎や癖は、子供のときのままずっと残るという意味で使われます。
その大切な時期に親御さんたちも大小さまざまな不安を抱くでしょう。
その不安を半分以下に、そして喜びを2倍以上にできるのが保育士だと思います。
しかし、自身が体調を崩してしまったら元も子もありません。
今回紹介した脳の仕組みを理解し「私が疲れているんじゃない、脳が疲れているだけ」と良い意味で他人ごとに捉えつつ、適切に自分をいたわってあげてください。
本記事が、親御さんの宝である「子ども」の人生の基礎をしっかり支える「保育士」の方々のお役に立てることを願っております。
ビジランスによる疲労は、経験を積めば軽くなりますか?
経験によって、対応のパターンを蓄積できることは期待できますが、警戒を維持し続けること自体の負荷は、大きくは変わらないとされています。経験とあわせて、休憩や役割分担といった仕組みによる対策を続けることが大切です。
GABAは、具体的にどんな場面で役立つとされていますか?
紹介した研究では、負荷の高い状況、つまり気を抜けない場面が続く状況でこそ、GABAの働きが成績と関連していたことが示されています。
口から摂取したGABAは、脳まで届くのですか?
GABAが血液脳関門をどのように通過するかについては、現在も研究が続けられている分野です。記事内でご紹介した脳科学の研究は、GABAという物質が脳内でどのような役割を担っているかを説明する、一般的な背景知識としてご紹介しているものです。Memory Coffeeの「持続的注意力の維持をサポートする」という機能は、これらの研究を直接の根拠とするものではなく、消費者庁への届出(届出番号:J1384)において、必要な科学的根拠に基づき評価・受理されたものです。
保育士に向いていないのではと感じてしまいます。
予測不能な出来事への対応で疲れを感じるのは、多くの保育士に共通する、脳の仕組み上の現象です。すぐに「向いていない」と結論づけず、まずは仕組みによる対策を試してみることをお勧めします。それでも辛さが続く場合は、一人で抱え込まず、周囲や専門機関に相談してください。
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1. 情報の正確性について:
本記事の内容は、学術論文および一般的な公開情報に基づき、執筆時点の情報として整理したものです。
情報の正確性・最新性には細心の注意を払っておりますが、新たな研究知見により見解が更新される可能性があります。 -
2. 個人差・職場環境について:
本記事で紹介している内容は、一般的な研究知見や傾向を整理したものであり、特定の個人の適性や能力を診断・保証するものではありません。
ビジランスへの耐性には個人差があり、職場環境や人員体制によっても負荷の感じ方は異なります。慢性的な疲労やストレスが続く場合は、自己判断せず、上司や専門機関にご相談ください。 -
3. 医療行為の代替ではありません:
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、医師による診断、治療、または処方に代わるものではありません。
また、紹介している成分や製品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。 -
4. 効果の個人差について:
GABA等の機能性関与成分に関する記述は、一般的な届出情報・研究知見に基づくものであり、特定の製品の摂取によって全ての方に同様の効果を保証するものではありません。
体質や体調により、まれに合わない場合があります。ご自身の体調に合わせて、無理なく取り入れていただくために——持病のお薬(血圧に関するものなど)を服用中の方は、念のため医師・薬剤師にご確認のうえお召し上がりください。 -
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本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
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| 所在地 | 〒957-0105 新潟県北蒲原郡聖籠町大字次第浜1948 |
| 代表者 | 佐藤 俊彦 |
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